虫生の森の植物たちと動物たち

名前が判らないものを見かけたら、画像の上で名前を見て、クリックして確かめてみてください。

ヌルデ

ヌルデ ウルシ科ヌルデ属 落葉小高木
倒木や工事で空き地ができると真っ先に生えてくるいわゆる「パイオニア植物」の一つでどこにでも生えている木です。
虫生の森でも、基地前広場や散策路にはよく生えてきます。
ウルシの仲間ですが、かぶれることは殆どないのですが、注意はしてください。葉と葉の間にもうっすらと平らな葉が繋がっています。
この葉の繋がりが特徴で、よく似たヤマハゼやヤマウルシと区別できます。
元は大きな葉が、間が退化してこうなったと考えられています。他のマメ科はないのに、なぜヌルデにはあるのでしょうか?
葉は秋に紅葉し、虫生の森を彩っています。
花期は8月~9月で、白色の小さな花を多数咲かせます。果期は10月~11月で、直径5 – 8 mmほどの扁平な球形をした果実をつけます。
果実は、塩辛くて(食べたことはありません)、塩が無い時には塩の代用品として使われていました。昔の人は、どこにでもある植物を上手に使いこなしていたんですね、凄い知恵です。
 10/3
この写真は、ヌルデノミミフシ(耳に似た格好から来ているらしい)という 虫こぶ (虫裔:ちゅうえい)で葉の付け根辺りにできます(元は葉か茎です)。
虫こぶの中には白いものにヌルデシロアブラムシの幼虫がたくさん入っています。幼虫はやがて何代かを経ながら黒くなってゆきます。
虫こぶから虫が出て行った五倍子(ごばいし)と鉄を酢で溶かした液から、明治時代までは既婚女性が歯を黒く染めたお歯黒がつくられました。

ここからは長い、虫こぶの話が始まります。こんな複雑な生活史は、タンニンで一杯になった虫こぶ(ヌルデノミミフシ)の中でヌルデシロアブラムシが外敵から身を守られて成長するためです。
春に卵からかえった1匹の幹母(かんぼ)という雌が、針のような口で若いヌルデの葉を刺し「虫こぶ形成物質」を注入すると、その部分が陥没し周辺の組織は隆起して幹母を包み込むようになる。このようにして虫こぶの形成が始まります
虫こぶは春から夏にかけて徐々に大きくなります。虫こぶの中では幹母が無性生殖で雌の子を産む。子の胎生雌虫はまた無性生殖で雌の子を産みます。
こうして秋までに3~4世代を繰り返す写真は正にこの段階で白いものの中に幼虫がいます(翅はまだでした)
秋が深まりヌルデの葉が枯れるころになると、虫こぶも茶色く変色し硬くなり、一部が破れて穴が開く
この穴から最後に羽が生えた有翅虫が飛び出し二次寄主であるコケ植物(チョウチンゴケ類)に移動する。
そこで無性生殖で産まれた幼虫が越冬し、翌春に有翅虫となって再びヌルデに移動し、無性生殖で雌雄の幼虫を産む。ここで初めて雄の虫が現れ、これら雌雄が有性生殖を行って卵を産み、その卵から新たな幹母が生まれる。

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夏の花, 昆虫